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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第096号       ’01−06−22★

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     慎み無き人々

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●EM法研修のマクラ

 

は何通りか用意してありましたが、その一つは「人間十人十色、その場に

集まった人数だけのアタリマエが存在する。 めいめい、世の中で自分が

一番マトモだと思い込んで他を認めたがらない」。 そんな場面が、この

ところ盛んに演じられました。  面白く、また哀しい、、

 

外務大臣が部下の背信行為で「弁護士と法的手段を相談」しなくちゃなら

ないんですからな。  仲間の法務大臣を飛ばして?  <前代未聞!>

と見出しを付けた報道もありましたが、何事にも<初めて>はある。

 

法的手段実行となれば即ち裁判沙汰、裁判は法廷、法廷は天下の喧嘩場、、

うん、こりゃたしかにケンカだわ。 <最も貴族的>な役所にして、何と

慎み無き成り行きではありませんか。   恥を知らんのかね、君ら?

 

 

それをビジネスの世界に置き換えれば、上部機構から送られて来た新社長

が気に食わない。 先住民でもある部下たちは新社長の不慣れにつけ込み、

さまざまサボタージュ(辞書には、妨害行為、破壊行為、生産妨害、破壊

活動、とある)を仕掛ける。 新社長たまりかねて、「私に仕事をさせて

下さい!」  そこまで言わせる社員たち、クビは覚悟なんだろうね?

 

いや、そうじゃないみたい。 ココロは、今までのやり方で行きたいだけ。

辞める? とんでもない。 海外サービス専門の会社だから、出張もある、

駐在もいる。 出れば羽の伸ばし放題。  豪華ホテル、盛大なパーティ、

現地人召使い、、  そんな<王侯貴族>したい一心で入社したんだぜ。

 

形ばかりだろうが、CIAもどきのこともするらしい。 成果は論外だが、

カネだけは気前よく使う。 訊いても使い道はヒミツ。 どころか、訊き

たがるあんたはウットウシイ、追い出してやろうじゃないか、と来る。

 

そんな<慎み無き社員>ぶり、あなたは自分の部下に、許しますかね?

 

*   *

 

<就業規則>に明らかな機密漏洩の罪を何度も重ね、それも意図的抜粋や

拡大歪曲の加工付き。 自社の対外信用を著しく損ねたことなど、まるで

意に介していない。 誰との癒着関係? と疑いたくなる。

 

新社長は、上部機構の退っ引きならない状況で選ばれ、意欲満々で着任し、

いきなり古池の腐り水をかき回し始めた。 だが果たして、それが最優先

課題であったのか、また、やり方はそれで良かったのか、も問題。

 

さすがにシンパたちもやや首を傾げるダイナミックさ。  うーむ、「人

(じん)見て法説け」、「急いては事をし損じる」、ご存じないか?

 

社員たちの貴族趣味?はたしかに常識外だが、あれは死ななきゃ治るまい、

当座は無視してかかるのみ。  そんなのしかいない以上、<そんなの>

を新しい方針に沿って動かす方法を工夫しなくちゃ、、  つまり、

 

いま新社長に求められているのは<マネジメント>。 だが、槍玉に挙げ

たのは<コントロール>レベルの不具合。  このかけ離れも問題ですな。

 

<コントロール>すらマトモに出来ていない老舗、、  歴代の社長たち、

いったい何やってたんだ? という新社長の腹立ちは尤もだが、あまりに

<直接話法>でぶつけ過ぎました。  たしかその世界、ほかのどこより

ディプロマティック(辞書には「【形】お世辞上手な、外交の、外交上の、

如才ない」とある)に振る舞うことが必要。 やはり人選を誤ったかな?

 

率直すぎたとも不用心だったとも言えるが、<その立場>基準で評価する

限り、新社長自身もまた慎みを欠いた人、ではありました。

 

*   *   *

 

しかし在来社員どもがバカに強気なのは、上部機構主流派とのつながりが

あるから。  お家騒動には付き物、新社長に腕を揮われては困る勢力の

隠然たる実力行使があって、さらに芝居がかるわけ。 そもそも

 

<退っ引きならない状況>にしたのが彼ら主流派なのに、よほどの利権が

絡むらしく、客観情勢無視で新社長の失脚を図る。 が、その下手なこと。

 

新社長が欧州の同業者と打ち合わせ中、業界大ボスの案に疑念を表明した

そうな。 その同業者はたしなめた後、その一件を上部機構主流派長老に

知らせ、「業界大ボスにも注進せねば、、」と言った、 と長老は新社長

の秘書に知らせ、秘書はそれをマスコミに知らせ、、  やれやれ。

 

すでに報道の誤りを指摘していた新社長だが、秘書にまで不信を表明され

ては立場が無い。 やはり<虚言癖>か、と外野まで思い始めたら半日後、

「ボスにご注進、と長老に言ったなんてウソッパチ」だと同業者が抗議し、

何と長老も(不満げながら)事実無根だったと告白、、

 

まあ、<藪の中>。 誰の言葉を信じて良いのやら、分からなくなります。

しかしあれが新社長追い落としの策略だったのなら、主流派長老もお粗末。

身の程もわきまえぬ慎みの無さ、おおリーゼントよ、汝も?!

 

*   *   *   *

 

しかしこんな会社や社長、業界じゃ信用されにくかろう。 どの立場の人

も、自分の<あるべき姿>が業界基準で描けていないようですな。 慎み

無き、と映るのは多分そのせい。 何しろかけ離れ、ヒド過ぎます。

 

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●野党は<反対>党、

 

だから当然、とは言え自由党達増議員の「虚言癖、精神分析の対象!」の

決め付けは、質問で迫るべき場面だっただけに、慎みの無さ歴然でした。

 

「先輩が築いた外交130年の歴史」とは思い上がり。 その<先輩>が

犯したヘマのため、60年後の今も未だに<だまし討ちの日本>と言われ

なきゃならないんだぞ、知らないのか?   折も折、ディズニー映画

 

「パール・ハーバー」が公開され、また差別感情が、と日系米国人は頭を

痛めている。 それをこの元外務省、何とも思わないらしい。 念のため

彼のサイト< http://www.sphere.ad.jp/tasso/ >を覗いたら、

 

エコロジーの項にある<地球環境>一語のほかは、国<内>的記述ばかり。

東大法学部で日本及びアメリカ政治外交史どちらも優、駐米外交官補時代

にジョンズ・ホプキンス大学で修士号取得、にしては国際的関心の薄い人

ですな。  そのくせ<国会便り>というページには、

 

『私は田中真紀子さんが外務大臣に就任した時から、、いつか激しく対決

しなければならなくなると予想していました。そこで私は田中真紀子外相

就任以来、外務省員との接触を絶っています。 私と会ったり電話したり

していることが田中真紀子外相に知られた時に、その人がどんなひどい目

にあわされるかわからないと考えたからです。』  深慮遠謀の確信犯。

 

さらに、彼の<決め付け>から、支持者までが批判されたことなどに関し、

『心が傷つくこと、人との関係が傷つくことほど悲しいことはないのであ

りまして、そのようなことに対し、私は何と言っておわびしてよいかわか

りません。』  自分が誰かを傷つけるのは平気な男、ぬけぬけ言うぜ。

 

その他も総合し、前号の和田先生的TAで解釈するなら、この人も<私は

OK、他人はOKでない>の<奢り万能感>。 自説固執による現実検討

能力喪失、のタイプです。    たまたま

 

彼はTVで目立ってしまったが、田中外相の本来<部下>たる人々の精神

構造は、おおむねあのようなものでしょう。 小泉内閣を支えるべき各省

庁でも大方は同類に違いありません。

 

<万能感>ゆえの面従腹背で歴代大臣を無為に封じ、自信満々の慎み無き

官益闘争。 外務省は氷山の一角でしょう。 もはや国難のレベル、、、

 

 

国難!となれば、かつての<日本人>は<挙国一致>で立ち向かいました。

が、この半世紀間誤った<自由>を謳歌するうち、日本人はすっかり劣化

変質してしまった。  何と比べてそれを検証しようか、、

 

で、思い起こすのがルス・ベネディクトの<菊と刀>。 日本語訳初版は

1948年。 私が読んだのはずっと遅く、たしか昭和40年代早々。  

 

アチラで会った人々と自分との違いから興味をかき立てられて読み漁った

中の1冊でしたが、あの驚きと感動は忘れがたい。 日本を訪れたことも

無い人が、資料や日系人サンプルとの面接だけでこうも的確に、、 と。

 

もちろん当時すでに、平均的日本人はベネディクトの描いた姿からかなり

ズッコケておりましたが、それはいわば<不易流行>の流行部分。 不易

部分は今日に至るも不易です。  たとえば、

 

 「日本人は、その歴史のどの時代においても、悪の問題と正面から取り

  組むことを回避してきたように思われる。 彼らにとって重要なのは、

  悪と戦うことより自分の名誉を守ることであり、そのためには、それ

  までの態度を一変することもできるのである。」

 

日本人離れ?を気取りたがる外務省エリートたちが実に原日本人的だった、

とは滑稽きわまりない。 その不易部分の<量>的突出で<質>的変化に

見えてしまう、のかも。 たとえば、

 

*   *

 

ベネディクトは「日本人の行動規範は恥にある」、自分が他人にどう判断

されるかを基準にして行動する、と断じました。 人目がなければ、行為

の善悪は問題にならない。 つまり、何でもしかねない人種。  それが

 

高じて、TVカメラにも平然、<恥知らず>に行動するようになっている。

身内への忠誠が先行するあまり、<人目>など配慮の外、の体。 <外>

務省なのに<内>ばかり向いている慎みの無さは、背任的ですらある。 

 

ベネディクトの指摘は、個人の道徳心が他者に左右されてしまう点、即ち

外面的強制力を常に必要とするほど内面的強制力が希薄だという点でした。

当時すでに<希薄>だったのだから、今の<無し>同然は、大した差では

ない。  < Self-centered > の度が進んだだけなのかも。

 

*   *   *

 

かつては集団主義を外面強制力としていた日本人が、核家族化で各人勝手

主義に陥り、社会的一体感を失ってしまった。 かてて加えての成果主義、

で企業の集団主義も終焉、、  それが<構造改革>の正体であったか?

 

最後の牙城<役所>は、従って死に物狂いの抵抗。 <我々はOK、ほか

はOKでない>が一段と強まる、、  外務省が証明しました。

 

ベネディクトによれば、日本人は「分」を守る。 自分が占めるべき位置

を知り、それにふさわしく振る舞うことをもって良しとする。 そこでは

忠、孝、義理、人情、恩などの概念に基づいた重大な責務を委託された者

が<目上>として尊重される、、 のだが、、 <役所>における大臣は、

 

<目下>の役人たちから全く尊重されていない。 政治家がダメだからか、

官僚の思い上がりか、その両方か、いずれにせよマッカーサーの占領政策

が奏功、良き日本は完膚無く解体されました。

 

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●気になるのは<真紀子大臣>

 

という呼び方です。 TV番組では「マキコ!マキコ!」連発のタレント

扱い。 総理に次ぐ重い職責の人を、そう気安く呼び捨てて良いのか?

 

その慎みの無さが現代マスコミ最大の病理、それによって大衆を誤らせた

罪は重い。 いや、慎み無くノセられる大衆にこそ罪が、、 ああ憂き世、、

 

 

<小泉総理>が実現したのも、その内閣が未曾有の支持率を獲得したのも、

もっぱら彼女の人気ゆえ、という。 なら、この際、彼女の存在を有効に

活かしたら、とシロートは思うがプロは思わないらしい。  たとえば、

 

最も重いアドバイスが出来るはずの駐米大使までが冷たくも、<米国側の

懸念>を伝える形で重い批判。  ところが、その<懸念>も当の米国側

に否定されてしまい、、  あんた、ほんとにプロ?

 

*   *

 

これじゃ「恥の文化」どころか、「恥かきの文化」、「恥知らずの文化」。

外務省という公的機関とその周辺の状況を、誰もが<私的>に扱っている。

 

万能感の肥大から自他の境界があいまいになり<私物化>現象に至る、と

和田先生は説明しておられる。 (「万能感」p.178)

 

 「この角度から、政治の世界や社会現象を観察すると非常にいろいろな

  ことが分かる。  今日の政治家や高級官僚たちが、権力を傘に着て

  私腹を肥やしたり、自分たちの利害がすべての判断の基準に、、、」

 

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外からの目には、こうした慎み無き人々が<日本人>。 だから、日本の

常識は世界の非常識。 海外旅行で羽目を外す<平均的日本人>も、早く

からそれを演じました。 株を下げることにおいては挙国一致、でしたな。

 

せめて Rational Process が利かせられる場面に遭遇したときは、皆さん、

<世界の常識>レベルの対応で退勢の挽回を図りましょうよ。

 

                           ■竹島元一■

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